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視覚で把握する理想の部屋

(「インテリアに興味のない人も読める、インテリアの記事を書いてください」とのリクエストで、2019年9月から2020年2月まで地方新聞十数紙の趣味文化欄に連載された『読むインテリアレッスン』全20回を、時事通信社様の許可を得てこちらに掲載します)


ムードボードのすすめ

「ムードボード」ってご存じですか? ファッションやインテリア、プロダクトデザインなどの現場で、デザイナーがチームやクライアントとデザインの方向性を共有するために作る、イメージコラージュのことです。言葉では伝わりにくい雰囲気=ムードを、視覚で伝える一枚の画面。発想を助けるので「インスピレーションボード」と呼ばれることもあります。写真やイラスト、文字、色見本や生地などを素材とした、一枚の画面状になったスクラップブックですね。


これを、自分の好きなインテリアをテーマに作ろうというのが今回の提案です。「理想の家」という大きなテーマでもいいし、「寝室」「書斎」「バスルーム」「子供部屋」など、特定の空間でも。


「ピンタレスト」など多く出回っている便利なアプリを使ってPC画面上で作成することも可能ですが、手を使って切り貼りするアナログな作業が実はおすすめ。普段デジタル作業が多い方も、普段と違うインスピレーションが湧いてくるかもしれません。捨てられないインテリア雑誌があったら、ムードボードに使ってみてはどうでしょう。カタログや旅先のホテルのパンフレット、ポストカードも良い材料です。自分だけの世界なので、想像(妄想?)をふくらませて、自由に好きな空間を思い描いてみましょう。


「住みたい週末ハウス」がテーマのムードボード。夢の第一歩に!

完成したムードボードは、できたらポスターのように、日常的に眺められる場所に貼っておくといいです。「こんな空間が手に入ったらいいな」と思いながら、日々それを見る。すると不思議なことに、描き出された内容の一部が、ある日本当に自分のものになるようなことも起こります。そこまではいかなくとも、視覚で自分の理想の空間を把握しておくと、いいことがたくさん起こることは断言できます。インテリアムードボード、ぜひ作ってみてください。

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